天下の小論

其の詩を頌し、其の書を読み、其の世を論ず 東洋古典の箚記集です

『孟子』 誰かを助けるのに理由がいるかい?

TVゲームの「ファイナルファンタジーIX」の中で出てくるセリフらしい。 つい最近まで、僕は知らなかったが、かなり有名らしい。 実に良い言葉だと思う。 だから、ゲームやアニメ・漫画は油断できない。変なビジネス書や人生訓よりも奥が深い場合がある。 …

『春秋左氏伝』 古代のコンプライアンス

中国春秋時代、紀元前527年に、晋の将軍である荀呉が鮮虞を伐ち、属国である鼓の城を包囲した。 城ぐるみで降参したいという内通者が現れたが、荀呉は許さなかった。 楽して城を落とせるのに、何故、そうしないのかと部下たちが言うと、荀呉は、こう答えた。…

『列子』 忘坐

忘坐を逆にした「坐忘」というと、『荘子』内篇大宋師第六にある、孔子と顔囘の有名な話である。 しかし、ここで紹介するのは「忘坐」という話である。 宋の陽里にいた華子という人が、何でも忘れてしまうという病に罹った。 朝のことは夕方には忘れ、夕方の…

『論語』 イエス・バット法

庭で揺れてるスモモをみればあなたの姿が目に浮かぶ会いにゆこうと思ってみてもあまりに遠い二人の距離(あいだ) 「あの娘が好きだ。今すぐでも会いたいと思う。でも家が遠くて・・・」こんなことを言っている内は、本当は好きじゃないのだ、と孔子は言う。…

『論語』 ルールだけではうまくいかない

ルールと罰による統治はうまくいかない、という。 人は、ルールの不備をかいくぐり、ルールに抵触さえしなければ、それでよしと考えるからである。 大事なことは、徳と礼儀だというのが、孔子の考えである。 この徳治主義で、現代の社会や組織を統治していく…

『老子』 誰もが納得することは真理ではない

自分が正しいと思うことが、他人から受け入れて貰えないことは多い。 自分が間違っている場合もあるだろう。 何度も反省することは必要だと思う。 しかし、本当の真理や道理は、分かって貰えないことの方が多いのではないか。 もしくは、口では分かったと言…

『列子』 休みたいとか遊びたいとか

子貢「先生、勉強ばかりで少々疲れてきました。しばらく休みたいのですが・・」 孔子「生きている間、休むなどということは出来ない」 子貢「それでは、私はいつまでたっても休めないのですか?」 孔子「休めるよ。あの墓を見てごらん。死んで墓に入れば休む…

『論語』 やはり不言実行の方が恰好いい

バブルの時代は、日本にとって日本人にとってどんな意味があったのだろうか。 もちろん、一言で語れるものではない。 ただ、それまでの常識もしくは正しいとされてきたことが、大きく否定された時代であったことは、間違いないと思う。 卑近な例でいえば、ア…

『出典 多』 今の世に大事なことは「忖度」ではなく「折檻」でしょう

最近では「忖度」といった死語も復活しているようなので、ついでに復活して貰いたい言葉が「折檻」である。 檻とは、欄檻(欄干)の檻であり、折檻とは、欄干を折ることである。 知っている人は多いと思うが、元々は、下が上を諌める意味である。 前漢成帝の…

『荘子』 目的と手段を取り違えてはならない

殷(商)を倒して天下を統一した武王の曽祖父である古公(大王)亶父(たんぽ)の有名な話である。 『史記』などにもあるが、今回は、『荘子』から紹介したい。 大王亶父が邠(ひん)という地にいた時、異民族である狄人が攻めてきた。 戦いを避けようとして…

『荀子』 德が無く能力が高い人間が一番の害悪となる

学問をするということは、本来は、徳育が中心であった。 それが、明治以降、知育に、その座を奪われた。 第二次大戦後は、徳育は棄て去られ、知育と体育だけになった。 体育大学はあるが、徳育大学はないのが、今の日本である。 徳もあり能力もある、これが…

『韓非子』 馬鹿をバカにする奴は馬鹿である

人に対して礼儀を尽くさないとする。 もし、その人が立派な人であるとするならば、それは大いに失礼なことである。 もし、その人がならず者のような人間であるとするならば、恨みに思って仕返しをされるかもしれない。 相手がどういう人であれ、礼を尽くして…

『戦国策』 全員一致は恐ろしい

『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン)によると、ユダヤでは全員が一致して賛成したことは、無効になるという。 出来うるだけ、皆が同じであろうとすることを求める日本人とは、随分と違うものである。 中国戦国時代の遊説家として有名な張儀と、荘子…

『韓非子』 第一線の重要性

良い商品を作り、適切な価格設定をし、サービスも充実させ、広告宣伝をしても、ビジネスがうまくいかないという話である。 ある酒屋がいた。 良い酒を造り、正直に客に接し、幟も高く立てているのに、全く酒が売れないのである。 折角の美酒は、いつも酢にな…

『晏子春秋』 出来ないことを悩むより出来ることを考えよう

西洋でも東洋でも、火星は不吉な星ということになっている。 ある時、その火星が空に現れた。 不安を感じた景公は、晏子に「何とかできないか」と尋ねた。 晏子の答えが、実に素晴らしい。 「来させることが出来るものは、去らせることができる。来させるこ…

『大学』 偽薬効果

小人、閒居して不善をなす。

『淮南子』 馬鹿と議論するな。はた目には、どちらが馬鹿かわからない。

僕が何らかの主張をする。 そこには反対する人間がいる。 お互いに自分が正しいと信じていればいるほど、歩み寄りは難しい。 そこに、第三者が現れて、 「それはあなたさんが違うでしょう」 とか言われて、反対者の意見が採用されてしまう。 何故そうなるか…

『管子』 臣なきを患えず、財なきを患えず

社員研修などで講師を務めれば、僕は先生という立場になる。 では、受講者と比べて、どれだけ優れているかといえば、これは疑問である。 しかし、受講者は、その立場として、先生の指示に従わなければならないし、それが当然と考えている。 同じようなことを…

『列子』 メラビアンの法則

(今回はとても有名な話です。多分、高校で習った筈です) 心理学者のメラビアンによると、人の感情は、「態度や表情」「話し方」「話の内容」の三つで他者に伝わるという。 そして、伝わる感情の全体を100%とした時、「態度や表情」が55%、「話し方」が38…

『孟子』 過ちて改めざる、是を過ちと謂う

アルフレッド・スローン(元GM会長)によれば、「51パーセントの確率で正しいことをしていれば、そのうちヒーローになれる」という。 人は間違うのである。 問題は、スローンの言うように間違う確率と、間違った後の対処である。 昨今の社会を騒がす事件を見…

『論語』 人のふり見て我がふりなおせ

One man's fault is another's lesson.

『戦国策』 善と正義とは全く違ったものである

跖(せき)の狗(いぬ)、堯(ぎょう)に吠ゆるは、跖を貴んで堯を賤(いや)しむるに非(あら)ざるなり。 跖とは、盗跖(とうせき)と言い、古代中国の大悪党である。堯とは、聖人であり、古代中国における名君の代表である。 大悪党である盗跖の飼い犬が…

『荀子』 仁者は必ず人を敬する

人を、善い人、悪い人に二つに分けたとする。 善い人に対して敬意を示さないということは、こちらが人でなしの獣ということになる。 悪い人に対して敬意を示さないということは、獰猛な虎を馬鹿にするようなものである。 つまり、どのような人に対しても敬意…

『論語』 酒は飲んでも飲まれちゃならぬ 

儒学、論語、道徳などという言葉を聞くと、堅苦しいイメージしかない。聖人君子といえば、遊びもなければユーモアもなさそうである。 しかし、実際はそうでもない。 儒学は、キリスト教のような意味での清廉潔白さを求めてはいない。 金持ちが天国に入るのは…

『蒙求』 不労所得へのアンチテーゼ

西郷隆盛は、征韓の論争に敗れて鹿児島へ帰る際、家屋敷を買った時と同じ値段で売ったという。 不動産屋が、「今では随分値上がりしています」といっても、商人ではないから儲けるつもりはないと断ったらしい。 時苗(じびょう)という人も、似たような人で…

『蒙求』 金持ちも良し、貧乏も良し

東洋の、貧しさをかっこいいとする思想は素敵である。 徒然草の第十八段に、次のような文がある。 唐土に許由といひける人は、更に、身に随へる貯へも無くて、水をも手してささげて飲みけるを見て、なりひさごといふ物を、人の得させたりければ、或時、木の…

『孟子』 人に頭を下げるのではなく金に頭を下げる

明治の初め、武士の商法という言葉があったように、武士はその誇りからか他人に頭を下げることが出来なかった。 もちろん、これでは商売が出来ない。 三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎は、こういった元武士たちに、 「人に頭を下げるのではなく、金に頭を下…

『論語』 良心こそが最高の判断基準です

「君子愛財、取之有道」(君子、財を愛す、之を取るに道あり) という言葉がある。 ネットで調べてみると、『論語』の言葉であるとか、孔子の教えであるとか書いている人が多い。しかし、私の知る限り、『論語の』の中にはそのような言葉はない。 孔子が、富…

『孟子』 親は子供を教育してはならない

親が自分の子供を教育することは、自然の摂理に反している と孟子は言う。 人としての正しい道を子供に教え、子供がそれを守らなければ、どうしても怒ってしまう。怒りは、親子の情愛を薄れさせ、その関係を悪くしてしまう。 また、親だからといって、常に正…

『淮南子』 愛せず利せざれば、親しき子も父に叛く

(淮南子=これは、「えなんじ」と読みます) 今や、年功序列といった人事制度をとっている会社はないであろう。 しかし、年功序列をやめて、本当に会社は良くなったのだろうか。 もしくは、年功序列をやめずにいたら、会社は悪くなったのであろうか。 よく…