天下の小論

其の詩を頌し、其の書を読み、其の世を論ず 東洋古典の箚記集です

春秋左氏伝

『春秋左氏伝』 物言えば唇寒し

陳の国の轅頗(えんぱ)という人は、国人に税を割り付け、陳の公女の結婚資金にした。 そこまでは良かったのだろうが、その金が余ったので、自分用に大きな銅器を作ってしまった。 国人は、この横領を憎み、轅頗を追放した。 取るものも取り敢えずに逃げる途…

『春秋左氏伝』 なかなか賢い人にはなれません

子供の頃、大人ってものは賢いもんだと思っていた。 きっと、自分も大人になれば、少しは賢くなるだろうと、思っていた。 もちろん、大人になっても賢くはなれなかったが、きっともっと年をとれば、年寄りになれば賢い人になれるんじゃないかと、信じた。 し…

『春秋左氏伝』 古代のコンプライアンス

中国春秋時代、紀元前527年に、晋の将軍である荀呉が鮮虞を伐ち、属国である鼓の城を包囲した。 城ぐるみで降参したいという内通者が現れたが、荀呉は許さなかった。 楽して城を落とせるのに、何故、そうしないのかと部下たちが言うと、荀呉は、こう答えた。…

『春秋左氏伝』 賄賂の上手い処理方法

賄賂を断ったことで有名なのは、何といっても後漢の楊震であろう。 楊震という名前は聞いたことがなくても、 「天知る、地知る、我知る、汝知る」 という四知という言葉を、知っている人は多いだろう。 賄賂を持ってきた男が楊震に、 「これを受け取られても…