天下の小論

其の詩を頌し、其の書を読み、其の世を論ず 東洋古典の箚記集です

『管子』 あいつは良い奴だから昇進させよう

経営者は、三つのことをしっかりと視ておかなければならない、という。

 

一つは、地位の高い者が、その地位にふさわしい徳(人間性)を持っているのか。

 

二つは、業績を挙げた人間に、その業績にふさわしい報酬を与えているのか。

 

三つは、能力や適性に見合った職務を与えているのか、である。

 

この三つがきちんと出来ていないと、組織は乱れると、管子は言っている。

 

二つ目と三つ目については、誰もが問題意識を持っていると思う。

しかし、徳(人間性)と地位という観点は、どうだろう。

 

多くの組織では、業績を挙げた人間が出世していく。

もちろん、徳(人間性)をどうでもいいとは考えてはいないだろう。

ただ、それを、昇進の際の基準として考えているかといえば、疑問である。

 

「あいつは業績を上げたから昇進させよう」と同じように、「あいつは良い奴だから昇進させよう」があっても良いのではないだろうか。

 

さらには、管子の言うように、本来、昇進の基準は徳(人間性)一本にするべきではないだろうか。

 

昨今の企業の犯罪や官公庁の不祥事を見聞きする度に、徳(人間性)を重視しない昇進の結果が、その原因の一つになっていると思えて、仕方がない。

 

出典 (明治書院)新釈漢文大系42『管子 上』遠藤哲夫著 56頁

立政第四(經言四)

 

君之所審者三。一曰、徳不當其位。二曰、功不當其祿。三曰、能不當其官。此三本者、治亂之原也。

 

君の審かにする所の者、三つあり。一に曰く、徳、其の位に當らず。二に曰く、功、其の祿に當らず。三に曰く、能、其の官に當らず。此の三本は、治亂の原(みなもと)なり。

 

 


自分磨きランキング

 

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 東洋思想へ
にほんブログ村