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天下の小論

其の詩を頌し、其の書を読み、其の世を論ず 東洋古典の箚記集です

『蒙求』 偽善もまた善である

蒙求

今回の両陛下のベトナム訪問において、俳優の杉良太郎氏が案内役を務めているという。杉氏は、長年にわたってベトナムの子供たちを援助してきており、日本ベトナム特別大使となっている、という話をネットで知った。

さらに、杉氏のベトナムへの慈善活動に対しては、売名だ偽善だと、色々な批判があったらしい。

そこで、思い出した話を、

後漢の張湛(ちょうたん)という人は、謹厳で礼を好み、動きの一つ一つにも決まりがあった。一人静かにしている時でも、きちんとしており、妻子に対しても威厳をもって接していた。
また、地域の誰に対しても、礼儀正しく接して言動にも配慮していたので、張湛の出身地である三輔地方では、彼を手本と考えていた。

しかし、彼を批判する人もいた。
「あれは、人からよく思われたいがためにやっているのだ。偽善者だ」、と。

それに対して、張湛は、こう言った。
「多くの人は悪をなして、それを隠そうと偽っている。私は善をなして、さらに善を求めようと偽っている。それでよいではないか」、と。


確かに、善人の真似をすれば善人だし、悪人の真似をすれば悪人になると言われている。悪人ぶるよりも善人ぶる方が、善に近いことは確かであろう。

そして理由はどうであれ、人の良い行動を批判するのは、何よりも悪である。自ら悪をなす人間よりも、善を批判する人間の方が悪である。


出典 (明治書院)新釈漢文大系58 『蒙求 上』早川光三郎著 480頁
張湛白馬
後漢張湛字子孝、扶風平陵人。矜嚴好禮、動止有則。居幽室必修整。遇妻子若嚴君。在鄕黨、詳言正色。三輔以爲儀表。人或謂湛爲僞詐。湛曰、人皆詐惡。我獨詐善。不亦可乎。

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