『孟子』 何事も、結局は自分が選択したということだろう
人に親切にしても、相手が懐いてこなければ、真心から相手を思っているのかを考えなければならない。
部下が思い通りに動かないのであれば、自分のマネジメント能力を高めなければならない。
こちらが相手を尊重しているのに、相手がそうでなければ、本当に敬意をもって接しているのかを振り返らなければならない。
原因は自分にある。
物事がうまくいかないのであれば、その原因は相手ではなく自分である。自分が変われば世の中も変わるのである。
と、まあ孟子は言う。
他人を見ると、確かに孟子の言う通りだという気がする。
かつて、中高年の再就職のお手伝いをしたことがあった。
多くの人が自分の不運や、いかに環境に恵まれなかったかを嘆いていたが、話を聴けば聴くほど、
「この人の人生は、この人が作り上げたものだなぁ。決して、運や環境の問題ではないよなぁ」と、冷酷なようだが思ってしまった。
ところが、これが自分のことになると、そうは思えなくなるのが僕のような凡人である。
学校においても、会社や様々な組織においても、常に競争というものがある。競争とは勝ち負けであり、その結果に一喜一憂するのが、人生であろう。
競争には常に相手がいる。結果としては相手に勝つかどうかということだが、本当に闘うべき相手は自分自身である。
自分こそが源(みなもと)であると考え、自分を変えていくことが、人生における本当の闘いなんだろう。
出典 (明治書院)新釈漢文大系4 『孟子』内野熊一郎著 245頁
離婁章句上
孟子曰、愛人不親、反其仁。治人不治、反其智。禮人不答、反其敬。行有不得者、皆反求諸己。其身正、而天下歸之。詩云、永言配命、自求多福。
孟子曰く、人を愛して親しまれずんば、其の仁に反(かへ)れ。
人を治めて治まらずんば、其の智に反(かへ)れ。
人を禮して答へられずんば、其の敬に反(かへ)れ。
行うて得ざる者有れば、皆諸(これ)を己に反求す。
其の身正しければ、天下之に歸(き)す。詩に云ふ、永く言(わ)れ命に配し、自ら多福を求む、と。