『孟子』 構成員に犠牲をもとめる組織は潰れます
中国から日本へ向かう船で、孟子の書を積むと沈没するとの言い伝えがある。孟子の思想はあまりにも革命的であり、天皇制を重んじる日本には合わないとされたのである。
「国民が一番貴く、次が国家であり、君主は最後だ」
というのが孟子の思想である。
であるから、国家のためにならなければ、当然、君主を替えても構わないし、国民のためにならなければ、当然、国家を替えても構わないと、考える訳である。
2500年近く前に、既にこのような思想があったことも驚きである。
敗戦前の日本では、「お国のために犠牲になって・・・」ということが正義であった。そして、国民を国のため天皇のためといって犠牲にした。
だから、戦争に負けたのである。
「祖国のために死ぬことが、戦いに勝つことではない。相手国のやつらを相手国のために死なせることこそ、戦いに勝つことだ」
(ジョージ・パットン:第二次大戦時のアメリカの将軍)
この論理は企業でも同じである。
時々、「会社のために犠牲になって・・・」などという話があるが、社員が犠牲になる会社が、果てして繁栄するだろうか・・・。
繁栄する会社は、社員を犠牲にするのでなく、社員を生かす会社であろう。
出典 新釈漢文大系『孟子』491頁 尽心章句下
孟子曰、民爲貴、社稷次之、君爲輕。 孟子曰く、民を貴(たっと)しと爲(な)し、社稷(しゃしょく)之に次ぎ、君を輕(かろ)しと爲す。