天下の小論

其の詩を頌し、其の書を読み、其の世を論ず 東洋古典の箚記集です

世説新語

『世説新語』 宇宙より大きな志

中国に仏教が伝来したのは、後漢の時代だといわれている。 そして、戦乱の多かった魏晋南北朝時代に、救済を求める人々の心を捉え、大いに広まったという。 粱の武帝は、何度も寺に奴隷として仕え、皇帝を買い戻すために、国は多額の寄進を行なった、とされ…

『世説新語』 おいしい話

おいしい話というものは、そうそう世の中にあるものではない。 何もせず、楽して儲けるなんてことが、出来る筈もない。 これは、子供でも分かる。 ところが、70歳の年寄りが簡単に騙されたりする。 詐欺は、もちろん詐欺する方が悪い。 しかし、騙される方の…

『世説新語』 給料が少なかった人の話

西晋の初代皇帝で、呉を滅ぼして三国志の時代を終わらせた武帝(司馬炎:諸葛亮孔明との戦いで有名な司馬懿仲達の孫)は、竹林の七賢の一人である山濤(さんとう)を重用していた。 しかし、重用している割には、与えている禄、つまり給料は少なかったという…

『世説新語』 財物は人のためにある

何有以財物令人慙者 いずくんぞ、財物をもって人をして慙(はず)かしめることあらんや 司馬徽(しばき)の逸話である。 司馬徽は、三国志の中で、劉備に孔明を推薦することで有名な人で、水鏡先生と呼ばれている。 何を言われても「好(よし)」と答えた、…

『世説新語』 善を褒めるのが本当の善である

臣父淸畏人知、臣淸畏人不知(徳行 世説新語) 臣の父の清は、人に知られることを畏れ、臣の清は、人に知られざることを畏る。 本当の聖人であれば、人の評価などは気にしないであろう。 しかし、普通の人間は、そうではない。 やはり、尊敬されたり、信頼さ…

『世説新語』 なぜ、部下から意見が出ないのだろうか?

東晋の時代、劉簡という人がいた。剛直な人柄であった。 ある時、意見を求められたが、何も答えなかった。 上司である桓宣武(桓温)が、 「何故、意見を言わないのか」 と、問うた。 それに対して、劉簡は、一言、答えた。 「言っても、採用されないことが…