『孔子家語』 子供の言い訳
ある時、「大阪人はケチだ」と言った人がいた。
そうすると、そこにいた一人が、「そんなことはない。東京の人間だってケチだ」と言い返したことがあった。
これは反論にはならない。
反論したいのであれば、大阪人がケチではない証拠を挙げるべきであり、東京人がケチであるかどうかは関係ない。
こういった発想をする人は幼児性が強いのであろう。
子供に、
「・・・・をしては駄目だろう」などと注意すると、よく、
「だって、○○ちゃんだってやってる」と、言い訳することがある。
これと同じである。
他の子供が悪いことをやっているからといって、自分が許されるものではない。
東京人がケチだからといって、大阪人がケチではない証拠にはならない。
世間の人間が間違っているからといって、自分が正しいとは限らない。
出典 新釈漢文大系『孔子家語』巻第五 顔囘第十八 259頁
言人之惡、非所以美己。言人之枉(おう)、非所以正己。
人の悪を言うは、己を美にする所以(ゆえん)に非ず。
人の枉(おう)を言うは、己を正しくする所以に非ず。
孔子家語 新釈漢文大系 (53) |
(1996/10)
宇野 精一