忠告は、するもされるも難しい
ドイツ炉辺ばなし集という本に出ている話である。
父親と息子がロバを連れて歩いていた。
すると、前から来た男が、
「せっかく、ロバがあるんだから乗ればいいじゃないか」
と言った。
なるほどと思った父親は自分がロバに乗って進んでいった。
すると、前から来た別の男に、
「子供を歩かせて自分がロバに乗るなんて、親の風上にもおけない奴だ」
と注意された。
そこで、父親はロバから降りて、息子をロバに乗せた。
すると、また来た別の男に、
「親を歩かせて子供がロバに乗って楽するとは、とんでもない親不孝だ」
と説教された。
それではということで、父親は息子と二人でロバに乗った。
すると、またまたやって来た別の男に、
「かよわい動物に二人も乗るなんて、動物虐待も甚だしい!」
と叱られてしまった。
進退窮まった父親は、息子と二人でロバを担いで進んでいった。
他人の忠告ばかり聞いていると自分を失ってしまう。
立場を変えれば、相手のことを良く知らないで忠告するのはよそう。